コラム

評価


社員を評価する場合にいつも感じていることがある。それは大企業と中小企業、そして零細企業の評価方法というものは全く違うということだ。最近話題の橘玲氏の「事実vs本能」という本に、私たちの常識が様々なデータを取ってみると事実と全く違っているということが書かれている。

例えば、①日本人のおよそ3人に一人は日本語が読めない。②日本人の3分の1以上が小学校3~4年生以下の数的思考力しかない。③パソコンを使った基本的仕事ができる日本人は1割以下しかない。④65歳以下の労働力人口のうち、3人に1人はそもそもパソコンを使えない。などと書かれている。このデータは、PIAAC(先進国の学習到達度調査の大人版)が16歳から65歳を対象に仕事に必要な「読解力」「数的思考力」「ITスキル」を測定する国際調査であり、この笑えない冗談かと思う事実(ファクト)にびっくりする。

またそれでも日本人の成績は、すべての分野で先進国で1位という事実にもう一度びっくりする。世界に起こる様々な出来事はこういう事実を認識せずには理解できないし、解決できないのではと思ってしまう。

評価に関して言うと、「評価する」ということは、今からの時代避けては通れない。これまでは皆で遅くまで残業をしていた。中には早く終わっているが、帰ると言い出せないので皆が終わるまで待っている者もいるだろう。仕事の内容や状況で人により差が出るのは当たり前だ。しかし、これまでは他の皆が残業しているのに一人だけ早く帰ると上司から文句を言われていた。しかし、早く帰る社員が残っている社員と同じ成果の仕事をしていれば、彼は余分な電気代、残業代を支払わずに同じ成果を上げた良い社員ということになるが、それを評価をしないと単なる和を乱す✕社員となってしまう。

これからは時間ではなく、成果で評価する時代にしないと早く帰る社員は増えない。つまり働き方改革は達成できないことになる。有給休暇も同じだ。休みを取らない社員が評価されれば、皆休みは取りにくい。ちゃんと休みをとって成績を上げることが評価されれば皆休むようになる。ただし、こういう簡単な理屈も理解できない社員は必ずいるので(PIAACからもわかる)、事実を理解した上での対応が必要になることになる。

渕上コラム「変える言葉」