時代の変化は川の流れに似ている。川の中央は水の流れが速く強い。一方岸辺はそうでもないし、ところどころ水が淀んでいるところもある。私たちは川のどの位置に立っているのだろうか考えて見てほしい。
今の会計の最先端に、仕訳の自動化がある。企業の経理の省力化、自動化は長年の懸案であった。私が会計事務所に入所した時はすべて手書きだった。仕事のメインは試算表を作ること、これが結構大変だった。元帳に仕訳を転記するのだが、元帳を集計しても1度で合うことはまれで、どこが違っているのかそれを早く見つけるのがベテランのアドバンテージだった。
その後オフコン、そしてパソコンの時代を迎え、今は貸借合うことは当たり前なので、次はその数字をできるだけ早く把握してどう役立てるのかということに論点が移った。その後ファックスOCRやらいろんな省力化の試みが行われたが、どれも今ひとつもの足りなかった。しかしITやAIの発達により、MFクラウド・フリーなどのソフトメーカーがとうとうある程度の仕訳の自動化にこぎつけた。
仕訳の自動化は、金融機関のインターネットバンキングをベースとして使うので、信用金庫・信用組合が多い地方ではその普及が遅れているが、ある時点から急激に変わると思われる。
さらに経営と会計の最先端であるM&Aについて話すと、会社の分割・合併、事業の譲渡、株式譲渡など会社法をベースに取引が行われている。今M&Aは会社法の改変に対応しながら企業の成長・承継を支えている。最近の動向は中小企業まで対象が広がっていることだ。スタイルには2種類ある。すべて自己責任のメルカリ型とトラブルが起こらないように下調べをきちっとするバトンズ型である。
仕訳の自動化もM&Aもどちらも時代の流れの本流を流れている。そのため変化も早く、流れに乗るにはパワーがいる。いつも同じだが、必ず否定的にみる人はいる。その理由は簡単だ。余分なこと(本人はそう思っている)をしたくないだけだ。今のパソコンを使うのも最初は皆反対していた。ダイムラーベンツが初めて車を製造した時も、町の人は市内を車が走らないように市に働きかけた。彼らは時代という流れの端で淀んでいる。時代は川の真ん中を流れている人が変化を受け入れ、推し進めていくのだ。