さて今日は東北の青森県について話そう。青森県の観光というと弘前公園の桜と紅葉、奥入瀬渓谷と十和田湖の新緑と紅葉、国民保養温泉指定第1号の酸ケ湯(すかゆ)温泉と八甲田山、日本三大霊地の一つ恐山(後の二つは立山と川原毛地獄)と仏ヶ浦、マグロで有名な大間のある下北半島、世界遺産のブナの原生林で覆われた白神山地などがある。それも良いが、個人的に好きなのは津軽三味線である。
青森に行くときは必ず三味線を聴く。沖縄の三線(さんしん)もいいが、個人的には津軽三味線の方が魂に響く。ちなみに三味線と三線の違いは、三味線はイチョウ型のバチで弦を弾くが、三線は人差し指に義甲(爪のようなもの)をはめて弾く。又、三味線は犬皮や猫皮を胴の部分に使うが、三線は蛇の皮を使うなどの違いはあるが、もともと三味線も沖縄から伝わったものらしい。
また青森県のことで良くある勘違いが津軽海峡冬景色の歌詞から生まれている。「ごらん、あれが竜飛岬 北のはずれと」という歌詞だが、北のはずれは竜飛岬ではなく、下北半島の大間崎だ。ただこれは推測だが、津軽半島の北のはずれは竜飛岬なので、津軽半島の北のはずれといったのだろう。しかし、この歌を聞いた多くの人は、龍飛崎が本州の北の端だと思い込んでしまったのだろう。ネットを検索しても勘違いが多い。下北半島の大間崎に行くと、「ここ本州最北端の地」とちゃんと碑が建っている。ちなみに、竜飛岬のある三厩村は北緯41度12分、大間崎は北緯41度32分である。
食物について語る。場所により当然に食べ物は異なる。かっての南部藩を見てみると、ヤマセが吹き、稲作は厳しいことから小麦粉、そば粉、雑穀などを使ったせんべい汁が有名で、にんにくや鯖、そして馬肉もある。津軽地方は、古くから穀倉地帯だったため、米と餅を使った料理が多い。けの汁(粥の汁がなまったもの、大根などの野菜と、ふきなどの山菜、油揚げや豆腐を細かく切り、味噌や醤油で味付けしたもの)、干し餅、りんご、ヤマトシジミなどがある。下北半島は、気候は厳しいが、クロマグロ、ホタテ、ふ海苔、昆布など海の食材が豊かである。最後に沿岸地域は、魚介類が豊富で名前を聞いてびっくりしたウニなどの入った高級品「いちご煮」が有名である。
さて少し旅行気分がでたところで、寒い強風の吹く日に、居酒屋で津軽三味線を聴きながら、大間のマグロとホタテを食べるとイメージする。そして飲むのは当然に青森の田酒(でんしゅ)か陸奥八仙、豊盃でも良い。思わず「うー」とうなってしまう。