コラム

将軍の日


昨日歯科の「将軍の日」を開催した。いつも実施して感じるのは、決算書をどういじくりまわしても過去は変わらない。決算書は未来を作るための基礎資料にすぎない。将軍の日は企業経営者の方向性を決めるのに役立つということだ。

多くの人は未来に不安を感じている場合、実はその本質は「未来」という漠然としたものに対して自然な不安を感じる場合と、自分自身が未来に対してきちんと対応できるかどうかに不安を感じている場合とがある。それなら何もしなければ不安はないのだろうか。それはありえない。何もしないことにより不安の先送りをしているだけだ。これでは未来の不安は将来増幅されるだけだろう。

今回は奥さんが診療所の新設投資に不安を感じていた。できれば今の賃貸のままいきたいと話していた。借入金をすれば返さないといけない。しかし果たして期待通りに収入が伸び、返していけるのか?それが不安だということだ。この場合、未来の数値を確認し、その実現性をどう確認するのかということで不安はある程度払しょくされる。はっきりしないことが不安の原因なのだ。

このケースの結果は、今のままやっていると何とかやっていけるが、5年先も資金は増えず、設備投資もなかなかできず未来は明るくないことがわかった。逆に積極的に対応してそれを実現できると、見違えるように資金は改善に向かい、設備投資も思うように実行できて経営が安定することもわかった。中期5か年計画を作成することで未来に対してのネガティブな不安が無くなり、ポジティブな感覚が生まれてきた。収入をある金額以上にしないと経営が良い意味で安定しないことがわかり、今の位置に留まることの大変さを理解したのだ。

このケースでは、MAS監査を実施できれば、計画の達成は、経営陣のみならず、働いているスタッフ、取引先、患者などすべてに良い影響をもたらす。実行にあたる幹部はそのことを頭に叩き込まないといけない。未来を考えた良い仕事は、良い収入、待遇、評価などをもたらし、中途半端な実行は、つまらない仕事、低収入、待遇の低下、左遷、悪評価をもたらす。

いいかげん自我から離れて、社会の好循環を作ることに身をささげてもよいのではと思ってしまう。

渕上コラム「変える言葉」