コラム

中小企業のM&Aの具体的方法


世の中に出てくるあらゆる新サービスは、それなりに世相を反映し、また新技術に基づいているものが多い。もちろん、現れては消えていくわけでどれが本筋になっていくのかは後にならないとわからない。そういう中で、ブロックチェーンや電子マネーや5Gなどの新技術は次世代の技術としてこれからさらに発展していきそうだ。中小企業のM&Aも経営者の高齢化や後継者難を背景にさらに一般化していくだろう。経理についても銀行のネット化を背景として、自動仕訳への取り組みも進んでいきそうだ。

中小企業のM&Aの特徴はネットである。売上高が10億円以上の企業のM&Aは手数料が数千万という世界で、デューデリ(買収監査)の金額もすぐに数百万~一千万円と高額だ。数百万円から数千万円で譲渡される中小企業にとってはそんな金額はとても払えない。そこでネットの活用となる。バトンズやトランビがその代表だ。

中堅企業から大企業のM&Aは、そのほとんどが株式譲渡である。組織として出来上がっているし、帳簿もちゃんとしている。こういう企業で逆に事業譲渡をするとしたら、数百人の社員とまず再雇用契約を交わすだけでも大変な作業となる。

一方、中小企業の場合はほとんど組織として機能していない場合が多い。決算書の内容もそのまま信用は出来ない。残業手当や退職金などの簿外の負債や、回収できない売掛金、売れない在庫などもあるかもしれない。つまりそのまま会社を引き継ぐことはすごくリスクがあることになる。許認可などが継続しないという問題もあるが、意外に新しく取り直すこともできる許認可も多い。従って、中小企業の場合は、継続に本当に必要なものだけを引き継ぐ事業譲渡が多く使われることになる。又、社員は再雇用となり、前会社の未払い残業代や退職金の問題も発生しない。こんな楽なことはない。デューデリも簡単だ。あるものをあるかどうか確認するのは出来るが、簿外負債などのあるかないかわからないものを確認するのは至難の業だ。それをする必要もない。

赤字で純資産がマイナスの会社や、経営者が一人で回している会社が売りに出るが、それらの会社は売るのが難しい。買う方の立場で買いたいと思う会社を普段から作っていくことが必要だ。経営計画をきちっと作って、自分のやりたいことがやれ、歳をとってリタイアしたいときにも魅力のある会社を作っていく考え方をもたないと自分が後で後悔することになる。

渕上コラム「変える言葉」