コラム

コロナ下のM&A


コロナは日本で感染者の増加と減少を繰り返しているが、そういう状況下でM&Aはどうなっているのだろうか?実は増えているのである。正確に言うと大型案件は減っているが、小型案件が増えている。最近は県や商工会議所などM&Aの推進により力が入ってきている。売上減少により廃業するなら売って、事業をつなげようとしている。

コロナの蔓延で2つの大きな流れがでてきたように感じる。この流れは企業のあり方や、社員の働き方を変える可能性がある。一つは、テレワークである。これは時間に縛られた、かつ社員の管理を主体とした仕事のやり方を大きく変えるものだ。基本的に日本の働き方は硬直的だ。ピラミッドを主体とした組織運営は時代遅れになっているのだ。日本の企業は江戸時代の参勤交代と同じように、まるで働いている社員のエネルギーをそぐことに注力しているみたいだ。これに対しグーグルなどの企業ではかなりフラットな組織になっていて、働き方も柔軟になっている。日本の多くの企業はコロナが終息すると、例えコロナ中のリモートワークで成果が上がっていても、また前と同じようなスタイルに戻ってしまう恐れもある。そうなると優秀な人材は他へ逃げるだろう。

もう一つの流れが小型のM&Aである。コロナ騒ぎで、通勤という膨大なエネルギーの浪費と、会社のために自己犠牲を強いられることへの抵抗感と、家族という一番大事なものに気づいた若い世代が、自由に仕事ができることをリモートワークで知り、自ら起業するか、小さな企業を買って個人の論理で仕事ができないかチャレンジが始まる可能性はある。はんこ一つでわざわざ往復2~3時間かけて会社に行かせる非論理性に若い人は我慢できない。

コロナ自体は大変な災厄ではあるが、時代というものはこういうものをきっかけにして大きく変化することは珍しくない。南アメリカ大陸のインカ帝国などが、スペインの侵略によって滅びたが、その一因は天然痘である。天然痘に免疫を持つスペイン人が来た事で、免疫を持たないインカ帝国の人の90%近くが亡くなった。それにより国が分裂し、200人足らずのピサロの軍に滅ぼされたのである。余談だが、天然痘以外の理由は、南アメリカには鉄の文化がなく、銃がなかった事。馬がなくスペインの騎馬軍団に翻弄されたこと。もう一つは文字がなく、それまで南アメリカでスペインにより滅ぼされてきた他の帝国の情報が一切はいってこなかったことなどがその理由と言われている。新しい技術はそれまでの社会を覆す。スマホにより世界中に情報が拡散する時代、スマホは継ぎの時代を作る有用な武器なのである。

渕上コラム「変える言葉」