ワークマンという会社がある。作業服の会社というイメージだが、現在10期最高益を更新中である。この会社の経営スタイルもまたこれまでと違い新時代の経営を想像させるユニークさだ。
例えば「社員のストレスになることはしない」と決めている。残業や、仕事の期限、ノルマ、短期目標などを設定しない。次「にワークマンらしくないことをしない」と決めている。他社との競争、値引き、デザインの変更、顧客管理、取引先の変更、加盟店は対面販売・ノルマもないなどだ。また「価値を生まないムダな事はしない」とも決めている。社内行事や会議は極力しない。経営幹部は極力出社しない。幹部は思いつきでアイデアを口にしないなどだ。つまり、ワークマンは「しない会社」を軸に成長を続ける会社なのだ。多くの企業がやっているノルマを定めて、期限までにやりきるということは一切しない。頑張らないのに業績は10期連続最高益更新である。どうしてそれが出来るのか?
この答えの前提に今あらゆる場所で起こっている若い人を中心とした意識の変化がある。変化と言うより180度の転換といった方が妥当かもしれない。つまり、戦後の復興時のがんがん上からはっぱをかけるやり方は、戦後の産物となり、昔当たり前だったパワハラ、セクハラ、24時間働かせる経営者が偉いという考えは、本当に過去の時代の産物となりつつある。これからは社員の犠牲を強いるやり方、当然に経営者・経営幹部もすべてを犠牲にして仕事をするやり方から、社員それぞれの家庭の幸せ、経営者・経営幹部の家庭の幸せを考えながら、短期ではなく、長期の戦略に乗っ取り、確実に事業を展開することが求められる時代になったのだ。
春のコロナの感染蔓延時に、リモートワークにトライした企業も、スタイルを完全に変えられずに、リモートが一時的なものとなり、結局元の仕事の仕方に戻り再感染拡大を招いているかもしれない。コロナ対応という一時的なものではなく、新しい働き方の模索でないといけない。リモートによって業績は変わらない。逆に仕事のできない人があぶり出されてくるという話もあるのだ。
人間の時代の感性に基づかないと新しい時代はつかめない。それが理解できずあいかわらず同じ事をやっている経営者、幹部、社員もリタイアしないと困る時代になりつつある。