ジャック・アタリというフランスの経済学者の2030年の未来予測を読んだ。そもそも未来は予測したことでそれに対応しようと変化が起こり、予測と違う結果となることが多い。しかし、予測に適切に対応しないと予測に近い結果を招くことになる。
いい例が、人口である。日本の人口というものは、移民の受け入れという手段を採用しなければ出生率の低下により確実に減少することはわかっている。ここからが未来の予測への対応になるが、1993年1.73という出生率に陥ったフランスは、シラク三原則という少子化対応をした。これは、
① 女性が産みたいときに産めばよい。男性の意見を聞く必要はない。しかし、女性が産みたい時期と、女性の経済力は必ずしも一致しないので、その差は税金で埋める。つまり女性が何人子供を産んでも、そのことで貧しくなることはないと保障した。
② お母さんも働くことが前提なので、赤ちゃんを預けられる場所を用意する。そして、育児休業給付金の支給を1年目はほぼ100%とした。そうすると、「もらえる金額が同じなら、1年目だけは赤ちゃんと一緒にいようという気持ちになって、0歳児を保育する必要がなくなり、社会全体のコストが下がった。
③ 男性でも女性でも育児休業を取ったあと、元の人事評価のランクで職場に戻れることとした。これにより、出産と育児休暇取得へのモチベーションが上昇する。というもので、これにより、2006年には出生率は2.0を回復し、2010年には2.03となった。
一方、日本はフランスよりもひどい少子化になっているのだが、将来日本経済がダメになると常に言われながらも、特に大きな対応はしないままで、出生率は平成17年には1.26、2019年も1.36である。この対応の違いに愕然とする。この結果は2021年の男女格差ランキングで120位という不名誉な結果につながっていると考えている。女性が結婚・出産により社会で不利益を受ける限りは、この不名誉な記録は続くであろう。
本当に日本の国の対応力が低下している。少子化だけでなく、コロナのワクチンに関してもそれをすごく感じる。日本の対応力の低下は、効果的な対応策をとれないということだ。一般人が考えられるレベル以下のことを上がやっているとしたらどうなるのだろう。ここから本来持っている日本人の賢さに期待したいのだが。