コラム

M&Aという新しい手法


新しいものやサービスがでたときには必ずネガティブな意見がでる。今は当たり前になった車のオートマも最初は「危ないからやめた方がいいよ。たくさんの車が勝手に動くから前の車にぶつかっているらしいよ」と言われた。しかも運転免許を持っていない人にだ。M&A(企業の合併と買収)も同じだった.日本の企業がまだ経験したことがないものだったので、当初「会社を食い物にされる」などいろんな話しが出た。こういうときは経験者の話が一番有用だ。

M&Aは大手金融機関などが薦める大型の案件からスタートし、日本M&Aセンターの創業により中小企業(中心は中堅企業)に浸透しはじめ、日本M&Aセンターから分社した現バトンズ(2019年4月~)が、中小企業の中でも売上の少ない小・零細企業のM&A事業を始めた。すでに3万件を迫る登録件数を持っている。

M&Aというサービスは大きな可能性を持っている。特にこれから約3分の2が後継者のいない中小企業を救う大きなスキームになるし、最近の労働者不足(毎年約30万人就労人口が減っている。中小企業まで人が行き渡らない。)の解消にも一役買えることも分かってきた。また後継者対策としての有効性が強調されるが、実は企業の成長のためのサービスと捉えて実行している企業も多い。国も事業承継のやり方としてM&Aを認めている。

いろいろな話題を振りまくライザップも瀬戸健社長が健康コーポレーションという会社を起業運営しているときにM&Aで取得した会社だ。今の若い人はM&Aに抵抗が少ない。限られた時間の中で立ち上げの時間を大幅に省略できる。設立、登記、採用、営業、顧客、仕入れ先、経理、運営すべてが出来上がっている。

又、これまで事業の運営・拡大等に頑張ってきた経営者にとっても、自分の引退後の従業員の雇用、借入金の返済(個人保証している)、老後の必要資金の確保などから、やめるにやめられずといった状況で、健康を害して初めて会社の清算をする人も多い。2018年は廃業が倒産の3倍以上に達している。M&Aという手法を知っていれば、多くの企業の雇用・取引先が守られたのにと残念でならない。情報社会といわれて久しいが、今でも都会と田舎、若者と高齢者、男性と女性の間での情報格差は残念だがある。新しいスキームをどう受け入れていくか、経営戦略に情報をどう入れるかによりこれからは会社の経営が変わっていく。

渕上コラム「変える言葉」