コラム

感動する仕事


働く人はどういう考え方で働くと幸せなのか考えてみた。以前より二つの考え方に分かれると言われている。一つは仕事を労働と考え、幸せは仕事から生まれないという考えである。仕事は我慢すべきものであり、与えられる仕事以外には積極的にしたくないし、しないというやらされ感満載のネガティブな考え方であり、もう一つは仕事を成長の場と考え、積極的に仕事に取り組んでいくポジティブな考え方だ。

よく例としては橋を造っている作業員に「なぜ、そんな重い材料を運んでいるの?」と尋ねると、「やれと言われているのでやっているだけだ。」つらそうに言い、また別の作業員に尋ねると「この材料を運んで橋を造っている。その橋ができると自分の子供達にも自慢できるし、周りの人の役にも立つしごとだ」と自慢げに話すという。ものの考え方によりこれほど差があるということである。

本来労働とは苦しいものではなかった。労働を嫌なもの、苦しいものに変えたのは近代の考え方だ。農耕社会では全員が協力して米を植え、収穫した。大変ではあるが、嫌なものではない。近代になり、共同体意識が薄れるにつれ労働はつらい苦役となり、戦後の高度成長と相まって、過重な労働が日常化してきた。

しかし、よく考えて欲しい。これだけ働いているのに、OECD先進8カ国のなかでの生産性は最低だし、休暇の取得率も低く、かつ労働時間も長い。これは個人の問題より会社や社会の仕組みの問題だと、政府も腰を上げたわけだ。政府のすることの是非はここでは問わないが、同じように働く人の中で成果を上げられる人はどのような人なのか。

これまでならとにかく努力と運しかない。運を得るには努力をすることが前提という考えが主流だったが、これからはやる気の起きるやり方でやるというセルフ・モチベーションという考え方が主流になると思う。やる気は人に与えられるものではなく、自分で自分に起こすものなのだ。楽しく・ワクワクしながら仕事をすれば、上司から怒られながら仕方なくする努力でなく、本当に自分の能力を伸ばす努力が得られる。28年前に東京の古田土さんがいっていた感動させる仕事が本当に素晴らしい仕事で、今の時代そう考えて実行すれば、それが可能になるのだ。人は自らが自分の人生の支配者にならなければならない。それがもっとも自分の可能性を高めるやり方であるからだ。人生のアップデートをする時代に入っている。

渕上コラム「変える言葉」