コラム

奄美大島観光


北の県が続いたので、今回は南の鹿児島県の奄美大島について話そう。鹿児島県の奄美諸島の主要な島だ。ここも私のお薦めの場所だ。初めて行くまでは、奄美はハブの島というイメージがあり、少し怖いなと思っていた。しかし、実際に行った後のイメージは宮崎駿監督のアニメ「風の谷のナウシカ」に出てくる腐界のイメージだ。知らない人のために説明すると、巨大文明が崩壊してから1000年後空気も汚染され、世界には有毒な瘴気をまき散らし巨大な蟲達が住む腐界という菌類の森が広がっていて、人類はまだ汚染されてない狭い地域に住んでいるという前提だが、実はこの腐界の地下できれいな空気と水が作られていたという一見害のあるようにみえるものが、実際はその自然を守っているというものだ。

奄美を訪れたとき、ここはまさしく風の谷と腐界だと感じた。実際に今でもハブは森の守り神で、奄美大島の人口7万人の4倍程度生息していると言われている。ハブのために開発が遅れた島は、その自然が守られ、アマミノクロウサギやオサガメなどの絶滅危惧種が今でも多く生息する。その結果、沖縄のヤンバルクイナの森と、西表島と一緒に世界自然遺産に登録申請できる自然が残っている。(今、コロナで申請延期)

奄美大島には沖縄に較べるとより自然な海が存在する。特にヤドリ浜がお勧めだ。そこでは野生のウミガメにかなりの確立で会える。立派なホテルが一軒とバンガローとキャンプ場がある。近くのホノホシ海岸に行くと「ハブに注意」という看板があり、ハブが気になってキャンプができないという人以外には良いと思う。テレビでハブは怖いという情報を流しすぎなのだが、実はハブによる死者は毎年ほぼ0なのだ。ほぼというのは何年かに一人くらい死者が出るためだ。ハブより強力な猛毒をもつウミヘビでも噛まれて死ぬとニュースになる位だ。つまり、世の中で危ないと言われるものは意外と危なくなく、危ないと言われないありふれたものが実は危ないのだ。例えば毎年人類を約70万人殺しているのは蚊である。危ないライオンは年に20人程度、また泳ぐときに気になるサメは10人以下である。また蚊の次に人間を殺しているのは実は人間であり、45万人程度になる。

これで分かるのは、マスコミで流すのはニュース映えする普通でないもので、それを見ると恐怖心を持ってしまうが、実はあまり危険ではなく、普通の生活の中の最もありふれたものが一番怖いと言うことなのである。ハブを気にせず奄美を楽しんで欲しい。沖縄と違い「三密」はない。

渕上コラム「変える言葉」