コラム

大谷翔平の活躍


今年の野球は大リーグエンジェルスの大谷翔平の話題で持ちきりだ。大谷翔平にはこれまでと違った多くの点が存在する。つまりこれまでの常識を彼は実力と人の運で壊しているのだ。
 
まず打者としてだが、落合元監督によると、大谷の今のアッパースイングは日本では最初にコーチから指導されるところだそうだ。しかし、現実に大谷は6月26日の時点で本塁打数はゴジラ松井を抜き前半戦で過去日本人一位の24本だ。また現時点、大リーグでの本塁打数はトップに1本差の2位でもある。長打率は断トツの1位だ。落合氏は彼の体が大きくなり、筋力も上がっている。普通の人ではできないことも彼はできるといっている。つまり人により打つ理論も異なるということだが、日本人のコーチは自分の体力、経験で指導する。従って才能のある人ほどコーチの指導を受けて才能をつぶしていく。思いだされるのはイチローだ。彼も独自な打ち方で指導を受けていたが、指導を聞かなかったので最初は出場できなかった。それが仰木監督に出番を与えられて開花したのだ。大リーグへの挑戦を後押ししてくれたのも監督だ。

投手としては、まず投手と打者の二刀流はだめというのがこれまでの考え方で、テレビで張本氏がいろいろ言って炎上しているが、それはそれで話の種としてはおもしろい。投手の例としては当然に野茂英雄投手だろう。変則的な投げ方で、あれではアメリカでは通用しないなどと日本でさんざん言われていたが大リーグで通算123勝をあげた。考えてみると、大リーグから選ばれているという事実に、大リーグの経験のない日本の評論家があれこれいうのは理屈に合わない。

大リーグの野球放送を日本でも見ることができるようになってからわかるが、大リーグの選手の変則・個性は日本球界の比ではない。もうぼつぼつ日本でも野球に限らず、仕事においても、もっと個性を認める方向性を認めてもよいのではないのかと思う。画一性、前例主義、こういうことをやっていたら、当然に日本にユニコーン企業が生まれるはずはない。ユニコーン企業を生むのは、ユニコーン経営者とそれを支援するユニコーン支援企業・支援人がいるからである。大谷選手のように投手と打者両方で一流になるという前例を破る野球界のユニコーンが生まれた土壌は、それを支援してきた日本ハムの栗山監督やエンゼルスのジョー・マドン監督などユニコーン支援人に恵まれているからだ。それは彼の人柄ととびぬけた才能のもたらしたものかもしれない。彼は常識にとらわれず自分の可能性に挑戦している。素晴らしいことだ。

渕上コラム「変える言葉」