コラム

パラオリンピックの閉幕


9月5日の日曜日にパラオリンピックが閉幕した。個人的感想だが、パラはその前のオリンピック以上にすばらしかった。期待を込めて見た閉会式の視聴率は関東では20.6%だったと報じられた。この数字はすごい。多くの人がかなりの関心をもってみたということがわかる。海外でも多くのマスコミが効率的で圧巻の内容だったと高評価だったのも嬉しい。

競技では、最終日のマラソンで視覚障害のある44歳の道下美里さんが普通の人でも走るのが困難な42.195キロをその小さな体で並走者である夫と一番に走り切ったのにはびっくりした。障がい者は、普通の人よりもハンディがある。そのハンディを克服するためにどれくらいの努力をしたのだろうか。それを考えると感動が深くなる。

もう一人印象に残った選手がいる。パラ最年少で金メダルをとった水泳の山田美幸さんだ。テレビ画面に両腕がない山田さんの姿を見たときはびっくりした。しかも両足も長さが違うし、まるで五体不満足の作者の乙武洋匡(ひろただ)さんがパラリンピックで泳いでいるような衝撃だった。一緒に泳ぐ海外の選手は長い手足がある。それで金メダル、いったいどれくらいの努力をしたのだろう。実は障がい者の人と接するとイメージと違い明るい人が多い。逆に障がいが特にない私たちの方に暗い人が散見される。これはなぜかと考えると、障がい者は前を向いて必死にがんばらざるを得ない状況があり、それが彼らを前向きにさせているのではとも考えている。山田さんは、将来は外交官になって、人と人をつなげる仕事がしたいと話していた。その話にも夢を感じてうれしかった。乙武さんも「僕は五体のうち、4体までがないが、多くの友人に囲まれ、車いすとともに飛び歩く今の生活に満足している。毎日が楽しいよ」と言っている。あー同じなんだと本当に思う。

前回のリオパラリンピックでは金メダルはなく、銀と銅で24個のメダルを獲得した。今回は金13個、銀、銅含めて51個で、史上2番目の数となった。今回のパラの最大の功績は、これまで日本人に多かった障がい者に対する偏見をかなり払しょくできたことにある。私もその一人だ。これまではそういう人を見ると気持ちが悪いと言っていた人が、そうでなくなったと話していたのも嬉しい。

とにかく、いろいろ物議をかもしたオリンピック、パラオリンピックが閉幕し、次回のフランス・パリへ引き継がれた。初めてパリへ見に行ってもよいなと感じている。

渕上コラム「変える言葉」