コラム

コロナ後の観光産業


以前も少し話をしたが、日本の観光産業や飲食店は、平成以降格段のレベルアップをしている。私の学生の頃はユースホステルにシーツ持参で1泊1200円~1800円で泊まっていた。もちろん4~8人部屋の二段ベッドだ。今の若い人にユースホステルに泊まろうという人は少ない。そのためほぼ消えてしまった。

以前は旅館の朝食は必ず生卵でご飯をかきこんでいたが、今は夕食・朝食とも昔より断然品質が上がっている。ここまで来るには国家としての経済成長と、個人の所得のアップと宿泊施設の努力が必要だっただろう。例えばフィリピン人は旅行というものをしたことがない人が多い。それは貧しいからだが、そのため観光にも食にも興味をもっていない人が多いし、その結果自国のことをあまり知らない。観光産業も未成熟で、政府のインフラ整備もできていない。観光産業は国民の知育を涵養するのだ。

日本では、最近コロナの影響で状況が変わってきている。高級なあまり人に接しない旅館などは満員で、昔の修学旅行スタイルのような、バイキングで人が往来する宿はあまり人気がない。つまり、個人が自分の判断でリスクを避けながらしたいことをするように変化しているのだ。コロナは、これまで第5次の急速な収束をはじめほとんど予測できなかった感染学者が、第6次の予測をしている。これには落とし穴がある。つまり、基本わからないのであるが、仮にもう大きな波は来ないと言って、もし来たら信用をなくすが(もう無くしていると思うが)、来ると言って来なかったら「よかったですね」で終わる。つまりリスクをとらないやり方でもある。これを「煽っている」という人もいる。実際のところ、素人でも感染症は波を繰り返していくのはわかっている。問題は、どう国や地方が対策を準備し、経済や観光産業につなげていくのかということだ。

日本の観光産業は、将来の日本経済と雇用をけん引する可能性がある。日本は本当に世界に比べて素晴らしいところがたくさんあると思う。私がコロナ対策で一番意味ないと感じているのは、「県をまたいだ移動はご遠慮ください」というやつだ。これはもともと感染者が多い東京や大阪のような大都市の人が地方へ行かないようにという意味だと思うが、これをこのまま感染の少ない県でもやっている。例えば大分県から宮崎県へ感染状況の似た場所へ移動することと、同県で移動することと、どう違うのか教えてもらいたい。県知事も感染学者と同じになってしまった。それにしてもあのラッシュの中、電車で見知らぬ大勢の人の中で、毎日通勤しながら逆に感染しない人が多い東京の人にすごさを感じる。

渕上コラム「変える言葉」