コラム

バランスが大事


ワンピースという漫画がもうすぐ終わりそうだ。現在単行本で98巻まで発行され、最後は100巻を超えそうだ。私が学生の頃漫画はまだ子供が読むものだというイメージが強く、それまで勉強で頭を使ったので、頭休めにベンチで漫画を読んでいると、見知らぬ年寄りが「若い者はそんなものを読まずに本を読め」と言い放って通り過ぎた。言いたいことはわかるが、すれ違った他人の状況は理解せず、ある意味善意で言ってくる。本人も仕事が終わって酒を飲んでいて、見知らぬ他人から「酒ばっかり飲んでいないで仕事をしろ」と言われたらどう思うのだろうか?

同じように「?」と感じるのが森元首相や二階堂幹事長だ。女性やボランティアの人々の思いや状況を理解せず話しをする。国のトップの感覚の鈍さにはびっくりする。これはいわゆる老害なのかもしれない。しかし、ここでも女性と同じように決めつけは厳禁だ。老人でも素晴らしい人はたくさんいる。日本はバランスが悪い国なのだと私は理解する。社会において男性と女性のバランスが悪い。老人と若者のバランスが悪い。仕事と家庭のバランスが悪い。家庭における夫と妻のバランスも悪い。このバランスの悪さがここ数十年の先進国の中での成長率の低さ、国民の幸福度の低さの原因の一つと思われる。

日本は終戦後に世界でも例を見ない経済成長を遂げた。その特異な状況におけるバランスをまだ引きずっている。時代に合わせて変化させないといけないのにそのままだ。つまり過去の成功体験にいまも制約されているのだ。システムとしてバージョンアップをしていないものが多いのだ。その足かせはあらゆるところに存在する。

日本人の基本的な精神は「和をもって尊しとなす」と言われる。しかし、実際には戦国時代あり、海外との戦争もありで、実は平和を享受する今ほど争うことを避けている時代はないのではないかとも思う。組織委員会の森会長の発言があったときも同じ組織委員会に属する著名な方達が何の声もあげなかったのは、そういう理由によるのだろう。私も同じ事をよくしてきた。そこで怒るべきだと思っても、どうせ変わらないだろうからやめておこうと、その場の雰囲気を大事にしたことも多い。

しかし、よく考えればそれは今だけの話しであり普遍性がない。欧米のように形だけ社外取締役をいれても、結局それを活かせない。問題は重大だ。本音を言い合えることはどれだけ重要か理解しないといけない。本音の話し合いは人を、社会を変える。

渕上コラム「変える言葉」