コラム

ナンバー2の重要性


会社を経営してみて実感するのは、経営者一人では限界があり、会社が大きく成長するためにはNO2の存在が不可欠であるということだ。
多くの中小企業では社長の奥さんがその役を果たしているだろう。社長がゴルフに行っていると、社員の中には俺たちに働かせてゴルフで遊んでいていいなと思う者もいる。外から見ると何でもよさげに見えるわけだ。そういう彼らはまだ組織における役割というものを理解していない。その時に「これは仕事なのよ。暑い中10キロも歩いて営業しているのよ」と社員に話したり、飲みに行くときも「これは仕事なのよ。楽しくない人とも楽しく飲まないといけないし、最後まで付き合わないといけないのよ。大変よ」と諭したりするのだ。
社長の仕事を理解するNo.2の言葉は社員のモチベーションを引き上げる魔法の言葉なのだ。

しかし、奥様の能力にもよるが,通常中小企業で売上5億円を超すためには,本当のNO2の力が必要だと感じる。それは社長といえど全能の人はいないからである。
営業に強い経営者や技術に強い経営者を支える経理や労務に強いNO2は必要だ。つまり、社長にない能力を提供するのだ。現代ではそういう能力が外部にも求めることができるようになってきた。堀江貴文氏は人を育てるのは大変だと今は外部に能力を求める経営のスタイルをとっている。

NO2としては、大企業ではソニーの盛田さん、ホンダの藤沢さんは有名だが、最近のIT企業でもサイバーエージェントの日高さん、ヤフーの川邊さんなどが有名だ。
つまり社長は理想を掲げて突っ走るが、それを支えて、社長の言葉を自分の言葉に直して部下に伝えることができ、社長の言葉を現実にするために奮闘するわけである。つまり目標となる山への登り方はいろいろあるが、その登り方を決めるのは社長であり、それを実現するためにサポートするのがNO2をはじめとする幹部なのだ。

これに対し、トップに社員を代表して(と本人は思っている)文句を言うことを自分の仕事だと勘違いしている自称NO2がたまにいる。トップは社員のいうことを聞いてくれないというわけだが、本来はまず自分が社長の意見をきちっときいていないといけない。
こういうケースで聞くべき価値のある提案をするケースはほぼない。なぜなら提案の後に必ずないといけない本人の関与・努力を想定していないからである。つまり思いつきなのだ。良い提案には責任が伴う。聞く必要のない提案は言いっ放しで責任が伴わない。区別は簡単だ。こういう幹部を育ててはいけない。本当にNO2を育てることは難しい。

渕上コラム「変える言葉」
コラム

妻のトリセツ


黒川伊保子さんの「妻のトリセツ」が売れている。人工知能研究者であり脳科学コメンテイターでもある彼女の話には説得力がある。

戦略の第一歩は相手のことを知ることだが、妻についてまず知って、その後取り扱いについて戦略を立てようということだ。女性脳は「共感脳」であり、男性脳は「問題解決脳」であるといっている。

人類は600万年という長い歴史を持っている。そのほとんどが狩猟文明である。農耕が始まったのが約1万年前、それまではいつも飢えとの戦いだった。それがDNAに刻まれていて、たかだか1万年前に始まった農耕文明の成果である米や小麦に代表される炭水化物の多い食事に対応ができず、肥満や病気が発生しているという説もある。

女性は子供を産み育てるため、体験記憶に感情の見出しを付けて収納しており、一つの出来事を引き金にして、その見出しをフックに何十年もの類似記憶を一気に展開する能力を持つ。この能力は女性の標準装備らしい。
その理由は 人類は一個体が残せる子供の数が少ないため、子育ては常に新しい問題に直面する。そこで臨機応変にそれまで経験したすべての記憶を呼び出して対応する必要があるというのだ。それこそが女性に与えられた特権なのだ。その一見ネガティブな引き金をポジティブなものに変えるにはどうすればよいのだろうか?

脳科学から見た最良のテクニックが「記念日」らしい。記念日により女性は過去の幸せな記憶を呼び戻せるのだ。その場合もサプライズでなく、事前に予告しておくと、プロセス志向型の女性はその日までいい思い出を紡ぐらしい。1日で一ケ月楽しめるのだ。

物事はその背景にある事実を確認すると認識が大きく変わることが多い。あれが悪いこれが悪いと文句を言うのではなく、その原因を理解し、対応していく。仕事における嫌な顧客も、厳しい上司も言い訳ばかりする部下もすべて相手の理解からスタートするのである。これこそがダイバーシティ(多様性)の時代の対応なのである。

渕上コラム「変える言葉」
コラム

キャリアアップ


2021年4月から同一労働同一賃金を含む「働き方改革関連法」が中小企業に導入される。中小企業に勤めると新人時の仕事をずっとやり続けることが多い。
このやり方だと給料はずっと上がらないことになる。なぜなら同じことをやっているなら成果は変わらないからである。そうすると会社が仕事を青王してくれないと、欧米のように自分で学んで仕事を変え、本人が望む給料を得られる職業を選択することになる。

日本では、以前は大企業では会社がキャリアアップを考えてくれていたが、これからはそういう会社も減っていき、自分でキャリアアップをはかる時代になるだろう。
自己啓発に年収の1~2割を研修に使っている人も増えている。

食べるために働いていると考えている人は、これからは厳しい時代になる。今の子供たちはほぼそう考えてはいないからだ。
自分の夢を実現するため、社会に貢献するため、前向きにキャリアアップを考えている。後ろ向きの人はその若い世代に対抗するすべがない。なぜならどの経営者も前向きな人を採用したいからである。

君たちの前にもしキャリアアップを考えてくれる経営者がいればそれはラッキーである。それはより高い専門性と地位を得られるチャンスだ。
そう考えることができなければ君たちの仕事・給与・処遇は一切変わらない。逆に価値低減の法則により下がっていくかもしれない。社員のキャリアアップを考えている企業の定着率はかなり高い。人も採用しやすい。なぜなら自分の未来を考えてくれる会社に唾する人間は普通いないからである。

キャリアアップは絶対に必要なことである。なぜなら、時代がこれほど大きく変わっていくのに、同じ仕事をしていて未来があると考えることはどう考えてもおかしい。仕事は常に少しずつ難しいことにチャレンジする必要がある。
イソップ寓話に、キツネがおいしそうなブドウを見つけるが、高い木の上にあり、手が届かない。するとキツネは「あのブドウは酸っぱいに違いない」と捨て台詞をはいて去っていくのだが、目の前にあるチャレンジすべき目標に対し、同じことをいっていないだろうか?「こんな仕事意味がない。誰もしない」あなたはイソップのきつねかもしれない。

渕上コラム「変える言葉」
コラム

会社が消える日


行動経済学で著名な神田昌典氏と、派遣業で初めて上場を果たした若山陽一氏の対談は、「今の形の会社は2024年までになくなる」という衝撃的な内容であった。
こうきくとそんなばかなと思うかもしれないが、よく考えてみると納得する事も多い.

私が会社を作ったのは平成4年だが、週休2日を最初から導入しようとした。その時周りから言われたのは、「そんなに休みを多くすると仕事が回らないぞ」という意見だった。しかし、会社は3年で売上が倍増した。今では中小企業でも週休2日の会社も多くなった。残業も減ってきた。しかし、まだ有給の取得率は50%以下で、3年連続世界最下位である。しかし、これからの若い世代はこの問題もクリアーしていくと思われる。日本人からすれば働かないイメージの強いヨーロッパの国々ができて日本ができないとは思えないからである。

これも早めに対応できた会社が人の採用でアドバンテージを受ける事ができるだろう。
そうするとフルタイムで働く正社員とフルタイムパート、派遣社員との差はなんだろう?今でもたまに時代錯誤のような「食うために働く」という社員を見かけるが、これからの正社員は会社の理念・ビジョンに賛同して、それを実現するために共に働く社員となる。「本来の正社員」の像になってくるわけである。理念がすばらしいと素晴らしい社員が採用できる可能性は高い。

神田氏は、一時期すべての業務をネットワークを使い外注でやっていた。すごく優秀な人が多く、仕事は期限までにきちっと所定の仕事をこなしてくれる。正社員のように忙しいとかできないなどの言い訳も一切ない。
また教育も必要ない。しかも単価が安い。いいとこだらけだったが、一つだけ課題がでた。それは神田氏がやめればすべて終了してしまい、継続性・永続性がないと言うことだ。

現実の業務の多忙さに埋もれることはある程度は理解できる。日本の企業はどうでも良い業務が多すぎる。しかも、トップや幹部に年齢のせいかもしれないが、ITを駆使し、システムを作り上げ、同じ事を短時間でやり上げようとする考えが足りないことも確かだ。
新しいことは、前より基本的に良いものと私は考えている。なぜならそうでなければ時間と金をかけ作る必要はないからだ。使いにくいというようなクレームは必ず出るが、時が解決する。自分の好き嫌いで考えるのではなく、必要なものは取り入れてもらいたい。

渕上コラム「変える言葉」
コラム

一流のリーダーの意外な習慣


10年間有名企業で秘書として多くのトップの下で働いた能町光香さんが一流のリーダーに共通な習慣について述べている。できる社長の一つ目の特徴は「言い訳をしない」ということだ。言い訳というものはあくまでも自分を正当化する弁論だ。
そこには大きな落とし穴がある。それは「言い訳をすればするほど、信頼が失われていく」ということだ。仕事ができる人はそのことを良く理解しているのだ。だから決して言い訳はしない。

二つ目は、「どんな人にも対等に接する」だ。地位の高い人ほど偉そうな振る舞いはしない。偉そうにふるまう人は実は偉くないということだ。
肩書でころころ態度を変える人は信用されない。肩書は記号にすぎない。人によって態度を変えないリーダーが率いるチームは良いチームになる。

三番目の特徴は、「マネジメントしてもコントロールをしない」ということだ。そして最後に「一体感をつくりだす」。つまり働いている社員の人格を大切にし、やる気の出る環境を整えているのだ。
逆に部下を怒鳴りつけコントロールしようとするリーダーは時代錯誤である。そういう人には優秀な社員は誰もついていかない。

また、秘書として新年早々にトップから言われるのは意外にも「今年のミッション」「今年の戦略」などの業績に関わることではなく、「休暇の予定」だそうだ。
一流の人はしっかりと休みをとる。なぜなら、休暇は、脳を休め、クリエイティブな思考を活性化させる大切な時間だと知っているからだ。

それに「アイデアは移動距離に比例する」と考えており、そのため多くの場合で遠くに移動して、非日常の景色・世界を楽しみ、様々なものを吸収して帰ってくる。
インスピレーションは異空間に身を置いたときに訪れるのだ。「できるだけ東京から離れた場所、離島なんかがよい」というリーダーも多い。

また、東京・大阪間の移動にも、利便性の高い新幹線より飛行機を選ぶリーダーも多い。その理由は、新幹線より飛行機に乗った方が、仕事にいい影響を及ぼすことができると考えているのだ。効率より、仕事に良い影響を与えるものを優先するのである。

渕上コラム「変える言葉」
コラム

元号改正(令和元年)


元号が令和になった。世の中は新元号と新天皇に対し祝賀ムードだ。ふってわいたような10連休もそれなりに消化されたようだ。私も昭和・平成・令和と3元号を生きることになった。
私の子供の頃は明治・大正・昭和だったのだが、これが歳をとるということであろう。「平成」という時代は、デフレや消費税導入、パソコン(ウインドウズの普及)、スマホの出現・普及、神戸・淡路や東北の大地震など、振り返って見ると大きな時代の変化が起こっている。
それでは今からの令和という時代はどういう時代になり、どういう変化への対応をすべきか考えて見よう。

まず、最初にAIの普及・発展が上げられるだろう。デープランニングにより、AIが社会に与えるインパクトは計り知れないと思われる。車の自動運転、スマホで自宅を管理、寝たきり老人の管理などいくらでもでてくるであろう。
オックスフォードの論文には、なくなる職業として税務申告代行者、保険業者、データ入力作業員、給与・福利厚生担当者、コンピューターを使ったデータの収集・加工・分析などの仕事が上げられている。

今から考えるとパソコンの登場により、タイピスト、キーパンチャーという職業がなくなった。他にも書生、注文取り、曲芸師、集金人、呼売人、エレベーターガールなどがなくなった。
一方新しく平成になり誕生した職業には、システムコンサルタント、心理カウンセラー、苦情受付事務員、ハウスクリーニング、自動販売機商品補充員などがある。

令和で今の仕事がどうなるか分からないが、時代に対応しないと定年が早くなることは間違いない。いつの時代も大切な事は、自分の仕事をレベルアップすることである。
これを「変える力」といい、これがないと先へはすすめない。
ここには二つ課題がある。
一つは何をするかで、もう一つはどうするかである。何をするかはその会社の方針なので、社員としてはどうするかが課題となる。
ここで、よくあるのは自分の能力不足をごまかすために、「**が**してくれないからできない」というように責任を他の人に転嫁することである。その間に本人の実力は落ち、気がつけば会社の中心から外れていくことになる。心して課題にとりくまなくてはならない。
課題の克服に必要な事は、他人がどうするではなく、あくまでも自分がどうするかである。これ以外はない。

仕事が出来ない人間の話はほとんどごまかしである。具体的にどれ位の時間を何に使っているのかを聞けばすぐわかる。ほとんど課題の解決に時間を使っていない。
令和になってからどう変えますか?平成と同じことを続けますか?

渕上コラム「変える言葉」